こねこのチー

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2016.12.05

チーがメインの講談社のブース!東京国際ブックフェアリポート & 原作 こなみかなた先生 × 3DCGアニメ 草野公紀監督 対談 その②

イベント2日目には原作者のこなみかなた先生とアニメの監督を務める草野公紀さんの公開インタビューが行われ、そちらも満員御礼となりました。マンガやアニメの製作にまつわる二人のトークをご紹介します。

■こなみ先生が漫画「チーズスイートホーム」を連載することになったきっかけをお聞かせください。
こなみ先生(以下、こなみ):当時の雑誌モーニングの編集長から「何か描いてほしい」と言われまして、何をテーマにしようか考えていました。その3年くらい前にたまたま子猫をもらって、初めて子猫を飼いました。当時息子が4才だったんですけど、子猫のあまりの可愛さに家族一同メロメロになってしまって。子猫のおかげでそれはそれは楽しい毎日を過ごしていたので、その可愛さや楽しい生活、子猫からもらった元気をマンガを通じて、読者の方々にも楽しんでいただけたらという想いで描き始めました。

■その子猫がチーのモデルになったのですね?
こなみ:そうです。その子をもらったのは生後1ヵ月の時で。実は原作と同じように飼い始めた頃は住んでいたマンションが猫禁止だったので、名前を呼ぶ時に猫じゃないような名前にしようと(苦笑)。それで「ぴーちゃん」という鳥のような名前にしました。その後すぐに山田家と同じようにペット可のマンションに引っ越しました。 だから「ぴーちゃん」がチーのモデルなんです。そして「ヨウヘイ」は息子がモデルですね。実はうちの息子はトイレトレーニングを終えるのが遅かったのですが、ぴーちゃんはトイレに座っている息子の足元でいつも待っていました。マンガでチーがヨウヘイの隣でトイレをするシーンがあるのですが、そんなエピソードがベースになっています。「お母さん」や「お父さん」、「クロいの」などのキャラクターは当時の担当編集さんと相談して作っていきました。

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チーの友だちのボス黒猫。顔はコワいが面倒見がよく、チーの世話を焼いている。

■3DCGアニメ化が決まった時はどう思われましたか?
こなみ:漫画連載当初と比べるとここ数年は空前のネコブームですし、アニメになることはもちろんとてもうれしかったです。立体化されたチーも素敵で、仕上がりにもとても満足しています。ストーリーも、ひとつの世界観がしっかりできあがっていますしね。今後のストーリー展開が今から楽しみです。

草野監督(以下、草野):アニメ化にあたって弊社のプロデューサーから監督をやってみないかと声がかかり、未経験だったので悩みましたが、貴重なチャンスを活かしたいと思い、引き受けました。猫は好きなんですが飼ったことはないので、猫を飼ってる方の家に行って猫と遊んだり、猫の動画や猫の本を大量に見たり、猫の知識を蓄えていきました。知識だけではなく、原作の魅力をいかに引き出すか、原作の“猫観”を捉えることを重視しています。

こなみ:すでに何話か拝見していますが、立体になったチーや他のキャラクターも素敵でした。アニメーション全体がひとつの世界になっているので、楽しんで頂けると思います。

■フル3DCGアニメはどのように作られるのでしょうか? 2Dアニメとの違いも教えてください。
草野:2Dのセルアニメは基本的に手で描いた絵を編集して映像にする、というイメージですが、3DCGアニメはコンピューター上にワイヤーフレームと呼ばれる骨組みを作り、それに色や質感をつけて、骨組みを動かしてアニメーションにする、というものです。原作のチーらしい動きを再現するため、歩き方や階段を登る動きにもさまざまなパターンを用意しています。

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チーのワイヤーフレームの画像。無数の四角を格子状に連ねて立体を設計する。コンピューター上に作られる各キャラの人形のようなもの。

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チーの歩き方のパターン。猫らしい動きのもの、アニメ的なコミカルな動きのもの、など数種類を用意。

■製作ではCGの最先端技術も使われているんですか?
草野:物理シミュレータなどの技術はリアルで説得力のある動きを出せるところが長所ですが、チーのアニメはまず主役のチーがかわいくないといけません。その点は技術に頼り過ぎず、表現の部分は人の感性をベースにしています。そういう意味では、セルアニメをアニメーターが手描きで描くのに近いような感覚を製作に取り込んでいるところがこのアニメの新しいところかもしれません。

■技術的に一番難しいところはどこでしょうか?
草野:原作のマンガの中に、現実にはあり得ないけれども、とても楽しい絵がいっぱいあるんですね。チーがびっくりして目が飛び出る表現とか、うきうきしながらダッシュして走っている時に足が何本も出ているように見えるとか。そういう「本来立体として成立しない動きを3DCGでどう表現するか」が楽しい苦労としてありました。それなりに答えが出せたと思っています。

■今回のアニメでは漫画にはなかったオリジナルの設定やストーリーが加えられると聞きました。
草野:そうですね。原作のマンガ通りの話と、オリジナルの話、その2つをシリーズ構成のバランスを見ながら制作しています。原作のマンガは大人向けのマンガ雑誌のモーニングで連載されていましたが、今回のアニメではメインターゲットを子どもにしています。子どもたちが楽しめるように、各キャラクターの魅力をより強調するようにしています。例えばヨウヘイには大きな新設定があります。講談社のプロデューサーの方から、子どもたちがより親近感を持てるようにするというのと、海外での放送も視野に入れて、今回のアニメではヨウヘイの年齢を上げて小学校二年生の設定にすることを提案されました。ヨウヘイの年齢を上げたことで、また違った魅力を出せる部分もあると思っています。

■アニメのオリジナルストーリーにはどんなものがありますか?内容を少しだけ教えてください!
草野:オリジナルの話は僕と講談社のプロデューサーの方、脚本家チームの方と毎週打ち合わせして脚本を決めています。全体のシリーズ構成やメインターゲットの子どもに楽しんでもらえるかを考えながら、原作のキャラを膨らませていくんです。たとえば、クロいのは原作でもチーに猫の心得のようなものを教えてあげる先輩猫ですが、それを膨らませて、「彼がチーにレッスンをする」というオリジナルの話を入れています。またハロウィンやクリスマスなど、放送のタイミングに合わせたお話もあるので、マンガと比べてより季節感のある仕上がりになっていますね。すでにマンガを読まれている方には、マンガとオリジナルストーリーの違いも楽しんでいただけたらと思います。

■完成した新しいアニメを観て、特に印象に残っているシーンはどこですか?
こなみ:オープニングテーマのPerfumeさんの「ねぇ」という楽曲に合わせてチーが動くアニメーションがとっても気にいってます。中でもチーが画面いっぱいに元気よく走って行くシーンは特に好きですね。

草野:好きな動きはいっぱいありますね。チーが「おいち~!」と言う時のアップも気に入っていますし、階段を登るシーンもアニメーターが頑張ってくれたおかげで可愛く、いい出来になったと思います。一話でチーがクロいのと話しながらその場でゴロゴロ遊んでいるシーンなど、何気ない仕草がとても可愛く仕上がっています。全部観てほしいですね(笑)。

■最後にみなさんへのメッセージをお願いします。
草野:原作の良さを最大限活かした3DCGアニメを作るべく、スタッフ一同、精一杯頑張っていますので、ぜひ観てください。きっと楽しんでもらえると思います。

こなみ:とっても楽しい3DCGアニメにして頂いて、今後のお話も非常に期待しています。みなさんにも楽しんで頂けたら嬉しいです。